製法製法

備長炭

『七輪による備長炭』で暖を取り、
醗酵させる

蒸煮した大豆に納豆菌をジョウロで散布し、経木に詰め、備長炭で温めた室で20時間発酵させる。備長炭を使った発酵方法は、下仁田納豆創業以来変わらない製造方法の一つです。
備長炭を入れた七輪にはやかんをかけ、温度とともに湿気を室の中に巡らせることで、室内は湿度を飽和状態に保ち、温度は40度を保っています。温度と湿度を保つだけでなく、大切なのは備長炭の遠赤外線。様々な調理で備長炭の遠赤外線効果は実証されていますが、大豆もまた、ふっくらとした仕上がりに遠赤外線効果は欠かせません。
電気制御の空調で室の温度を温めることが一般的ですが、何よりこの天然の遠赤外線効果を大豆に与えてあげるためには、電気ではなく備長炭での発酵を守っています。とはいえ自然の炎とやかんの湯気で調整する温度と湿度。定期的に人の目で確認し、必要に応じて天窓を開けて温度調整をしながら20時間、じっくりと発酵させています。
納豆菌がしっかり育つように、納豆がふっくらと仕上がるように。納豆は生き物です。その成長に目を配りながら、下仁田納豆は造られています。

経木

天然の抗菌・発酵作用の恩恵と
自然環境との共存

経木は、赤松をごく薄くスライスして紙のように仕上げたもの。昔は肉や魚などを冷蔵保存するときにも使われていた、天然のトレイのようなものでした。現代ではプラスチックのトレイが主流になっていますが、経木ならではの良さはもちろんあります。
経木は自然素材なので、最終的には土に還る素材であることはもちろん、木ならではの気孔(小さな穴)により、適度に湿度調整をしてくれる、つまり呼吸する素材であるということ。また、天然の松ヤニによる抗菌成分も優れているため、食材のトレイとしては最適な有機的な素材です。
かつて群馬県は、経木生産全国一を誇っていました。明治期には生糸や絹と並ぶ重要生産品として重宝されていた中、昭和中期を境に機械管理の難しさや原材料の高さなどから生産量も減り、トレイの需要はプラスチックトレイへと変わっていきました。
しかし、山々に囲まれた群馬県。経木の材料となる赤松を伐採し、新しく植え続けることで、山は新陳代謝を繰り返し健康を保てる。自然のサイクルを保つためにも経木造りは欠かせないという経木生産者の方々が踏ん張り、群馬県桐生市の阿部経木店の造る経木を下仁田納豆では使用しています。
天然素材であり、ほのかな松の香りや抗菌性、納豆造りに適したこれらを活かしてこそ、下仁田納豆の納豆造りはより良いものとなります。経木納豆は、昔から変わらぬ下仁田納豆の特徴の一つです。

松林の風景 経木の製造風景

材料

北海道と群馬、農家の方々が育てた
大豆のうまさとチカラ

下仁田納豆で使う大豆は、北海道や地元群馬で育った、厳選された大豆を使用しています。納豆の旨さは材料の旨さにある。創業当時は一般的な大豆を使った納豆を造っていた下仁田納豆ですが、代の変わりとともに「自分たちが思う最も美味しい納豆を造ろう」という意志の元、大豆選びも大切にしています。
下仁田納豆は一般的な納豆に比べて高いと言われていますが、美味しい納豆を造るために欠かせない大豆を選ぶ上での必然だと私たちは考えています。
大豆は、農家の方々が毎日の天候や雨量など大自然と対峙しながら毎年育てている農作物。人の手間や思いが詰まっています。輸入された安価な大豆で安価な納豆を造ること、最新鋭のオートメーションラインで納豆を造ることが間違っているわけではありません。私たち下仁田納豆は、国産の大豆、顔の見える農家の方々が丹精込めて育てた大豆を使い美味しい納豆を造りたいという思いがあるということ。
それは、こだわりではなく、私たちの当たり前。美味しい大豆を使って、最大限美味しい納豆を造る。下仁田納豆は、大豆の旨さを感じる納豆です。そこには、生産農家のみなさんが大切に育ててくれた思いも詰まっています。


下仁田納豆では遺伝子組み換え大豆の使用はございません。商品パッケージに遺伝子組み換え大豆の使用有無の表示をしてない理由といたしましては、下仁田納豆では全て国内産大豆を使用しており、日本国内で栽培された大豆には遺伝子組み換え大豆は無く、現在の法律では遺伝子組み換え大豆を使用していないことが明らかな場合にはパッケージ内への表示義務が無いためです。ご安心してお召し上がりいただけましたら幸いです。

蒸煮前の選別風景 蒸しあがった大豆など

工場内のご案内

下仁田納豆は、
当社規模の納豆会社では珍しく「大豆倉庫」「浸漬室」「蒸煮室」「盛込室」「発酵室」「冷蔵室」「包装室」「出荷室」と、その全てを別々の部屋で行っています。

  • 大豆倉庫

    まず生産地や問屋から3日に1度運ばれてくる大豆は、倉庫の中に入ります。大豆は農作物のため、土着の菌などが付いていますので、菌で発酵させる「納豆」とは場所を隔てる必要があります。

  • 浸漬室

    大豆を水洗いして研磨を行い、水に一昼夜漬けて水を含ませます。漬ける時間は7時間~20時間前後と、季節や湿度により変えています。大豆の皮、また質の良くない大豆は水に浮く性質があるので、ここで良質の大豆かそうでないかを選り分けます。

  • 蒸煮室

    最新の圧力釜により、大豆を加熱し蒸煮していきます。下仁田納豆は昔ながらの製法で納豆造りを行っていますが、最大限美味しい納豆を造るために、蒸煮には1年ごとに最新の設備とシステムを導入しています。ムラなく一粒一粒をふっくらと仕上げるために、蒸煮時間や温度はシステム管理をしています。

  • 盛込室

    工場内で最もたくさんの人が働く盛込室。蒸煮が完了した熱々の大豆にジョウロで納豆菌を散布し撹拌したら、三角に折った経木にお玉で一つ一つ納豆を入れていきます。手早く、効率的に、丁寧に。手分けして盛り込み蓋をし、発酵室へと入っていきます。

  • 発酵室

    湿度は飽和状態、温度は40度の発酵室で、約20時間発酵させます。熱源は七輪に炭を入れ、その上に置いたやかんで湿度を調整。昔から変わらない製法、備長炭ならではの遠赤外線効果で、納豆菌が活発に動き、最適な発酵具合になります。

  • 冷蔵室

    適切に発酵が完了した納豆は、冷蔵室へと移動します。冷却することで過発酵を抑え、熟成させることで味に深みが増します。

  • 包装室

    冷蔵庫で発酵が収まった納豆を手作業で梱包、ラベル貼りや賞味期限の印字を行い、出荷準備を行います。

  • 出荷室

    全国各地へと発送していきます。下仁田納豆を、たくさんの方々に美味しくお召し上がりいただきますように。

  • 洗浄室

    出荷後のバットを隅々まで洗浄し、余計な菌が残らないようにします。